デザイン思考の背景

皆さんはここ数年注目されているデザイン思考という言葉についてご存知でしょうか。
デザイン思考は米シリコンバレーに本拠を構える、IDEO(現在博報堂DYグループの一員であり、米アップルのマッキントッシュにおける初代マウスをデザインしたことでも有名)というコンサルティングファームにより広く世の中に浸透されました。
デザイン思考とは、デザインの発想をビジネスに持ち込み、新たなアイデアやイノベーションを生むプロセスに関する考え方のことです。
AppleやGoogle、Sonyなど世界的規模の企業がこぞってデザイン思考という考え方に注目を示しているため、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

このデザイン思考という考え方、最近生まれた思考方法だと思っている方も多くいるようですが、実は10年以上前から提唱されているのです。
ここ数年で注目を集め始めたのは、多くの企業が従来のやり方では新しい発想を生み出すことに限界があると考え始めたことに起因しています。
何か新しい発想を生み出す手法はないかと模索していた企業が、このデザイン思考へ注目し実際に成功事例が現れ始めたのがここ数年なのです。

デザイン思考とは

深層心理
では、ここ数年注目を集めているデザイン思考とはどういったものなのでしょうか。
デザイン思考の解釈については様々ありますが、共通して言えることは“ユーザの深層心理をしっかり理解して、その解決へ向けてイノベーションを起こす”ということです。
そうは言われても、深層心理を理解するには何をすればいいのか、解決へ向けたイノベーションはどこから手を付ければいいのか、いまいち理解ができないところだと思います。
デザイン思考には、その方法論を行うための5つの具体ステップが定義されています。
以下にそのデザイン思考のステップについて簡単ですが解説していきたいと思います。

デザイン思考の手順

デザイン思考のプロセスは大きく「共感」「問題定義」「アイデア抽出」「プロトタイピング」「テスト」の5つのステップに分かれています。
あらかじめ断っておきますが、このステップは人によっては、集約されたり、さらに細分化したりとステップが4つだったり、6つだったりします。
すでにいくつかデザイン思考に関する記事を読まれた方は、結局何が正しいの?と思われる場合もあるかもしれませんが、ステップ数は異なったとしても内容的には、どれも同じです。

【ステップ1:共感】

まずは、ユーザの観察を行います。自分たちの商品・サービスについてユーザがどのように感じているのかを理解します。
どのような利用の仕方をしているか、不満はないか、ほかに希望していることはないか等、色々なことに目を向け、色々な場所へ足を運び、とにかくユーザのニーズを理解することに徹します。
そして発見した事象に対しては、どのような判断も行わず、後から確認できる形で書き留めておく(可視化しておく)ことが重要です。

【ステップ2:問題定義】

ステップ1で洗い上げた内容に対し、ニーズに隠れている本来の目的(課題)を定義していきます。表面上の課題ではなく根本的な問題や課題を見極めるために、常に“それはなぜか?”という問いを繰り返してブレイクダウンしていくことが重要です。

少し、理解が難しいかもしれないので簡単な例を挙げておきたいと思います。

例)例えば扇風機に対するニーズが「ハネのない扇風機がほしい」だとします。
このニーズに対し、“それはなぜか?”を繰り返していきます。

「ハネのない扇風機がほしい」⇒なぜ?⇒「ハネが邪魔だから」⇒なぜ?⇒「掃除がしにくいから」⇒なぜ?⇒「細かな部品にほこりがたまるから」

結論:ほこりがたまらない扇風機がほしい

これは私の考えた例ですが、このようにユーザの意見を深堀していくと根本的なニーズは別の部分にあることが多いのです。それをステップ2では探っていきます。

【ステップ3:アイデア抽出】

ステップ2で落とし込んだ課題に対し、それを解決するためのアイデアや情報を出します。
どのような些細な情報でも、くだらないと思えるアイデアでもとにかく考え付く限りを出します。
と言うよりも、この段階でくだらないとか、これは良いとかいった判断をしてはいけないのです。

【ステップ4:プロトタイピング】

ステップ3であげた、大量の情報やアイデアをグルーピングするなどして精査します。
そしてその中から、実現性や実現価値があると考えられるいくつかの有用なアイデアに絞り込みます。
絞り込んだアイデアについて、必要最低限の機能だけを備えてプロトタイプとして形にします。
一旦形にしてみることで、机上の空論であれば気が付けますし、もっと現実的な要素を付け加えることもできるようになります。

【ステップ5:テスト】

プロトタイプを実際に稼働させ、ユーザからのフィードバックを受けます。
受けたフィードバックはきちんと分析し、プロトタイプの改善を積極的に行います。
このフィードバック、改善、というサイクルをひたすら繰り返し、より実用的な姿へ変革を遂げていくのです。

まとめ

未来へ向けたイノベーション

10年以上前は、世界には圧倒的にモノやサービスが今より少なかったために、企業は新しい商品やサービスを考え出せば、それだけで自然と人が寄ってきて事業が成り立ちました。
しかし、ここ10年近くはモノやサービスが充実し、1つのモノをとっても様々な企業からいろいろなタイプのものが販売されておりユーザは自由に選択ができるようになってきています。
そうなると、もはや企業はただ商品やサービスを生み出すだけではユーザがよって来なくなってしまったのです。
そんな不都合を解消するために、ユーザの真のニーズを理解して、どんな人にどのように使ってもらうかという部分まで細かくデザインした商品やサービスの開発が必要となったのです。
その際の救世主的存在がデザイン思考というユーザから始まる思考方法です。
これからのビジネスにおいてユーザを無視して商品やサービスを開発するということはできません。
未来へ残るビジネスにするためにも一度このデザイン思考を取り入れてみませんか。