デザイン思考総括

デザイン思考

これまでデザイン思考の概要および、適用例についてご紹介してきました。
今回は、デザイン思考とほかのフレームワークの違いについて簡単に解説させていただきたいと思います。
(デザイン思考も広い意味のフレームワークに入ります)
フレームワークというと3CやPEST分析、SWOT分析、4C等ぱっと思いつくだけでも複数の有名なフレームワークがあります。
これらのフレームワークとデザイン思考はどのように利用をすみ分けて行えばよいのでしょうか?
以下にビジネスを行う上でのプロセスに沿ってご紹介したいと思います。

企業のビジネスプロセス

インターネットでのビジネス展開

企業ビジネスのプロセスは

  • 「企業の戦略および方針の策定」
  • 「事業計画の戦略および方針の策定」
  • 「製品の開発」
  • 「製品販促および維持改善」

上記4つ(以下説明しやすいように大分類Aとします)に分けることができます。
そしてこれらの4つのプロセスそれぞれに、

  • 「内部・外部環境分析」
  • 「戦略の構築および計画」
  • 「提案および開発」
  • 「計画の実行」

と言うもう少し具体的な行動プロセスがあります。
(以下説明しやすいように小分類Bとします)というさらにブレイクダウンされたプロセスが発生します。
小分類Bまで細分化したところで、その各プロセス(「内部・外部環境分析」「戦略の構築および計画」「提案および開発」「計画の実行」)に適したフレームワークが数多く提唱されており、多くの企業が小分類Bの各プロセス段階で必要なフレームワークを取捨選択して利用しているのです。
フレームワークとデザイン思考の利用のすみわけを考える上で、まずは小分類Bの各プロセスで利用できるフレームワークについてどのようなものがあるのか考えて見ましょう。

【プロセス1:内部・外部環境分析】

① PEST分析

PEST分析とは「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の頭文字であり、それぞれの要素で状況を分析し、整理します。
このフレームワークを利用することで、政治、経済、社会、技術など自社だけでは解決できない要因を網羅的に理解することができます。

② バリューチェーン分析

バリューチェーン分析では、エンドユーザに自社の提供する価値(バリュー)が届けられるまでの、ビジネスプロセス活動(チェーン)を整理します。
例えば「仕入れ」⇒「販売戦略」⇒「販売」などでチェーン分解し、どこに競合他社と比較した優位性があるかということを探ることで、企業戦略を考える上での要素とすることができます。

【プロセス2:戦略の構築および計画】

① TOWS分析

TOWS分析とは「Threat(脅威)」「Opportunity(機会)」「Weak(弱み)」「Strong(強み)」の頭文字です。
それぞれの要素を縦横(縦軸:強み/弱み、横軸:機会/脅威)に配置し、各象限を埋める形で分析を行います。
そうすることで自社の強みや弱みを理解したうえでの具体戦略を立案していくことができます。

② PPM

PPMとはプロダクトポートフォリオマネジメントの略です。
自社の多数のサービスについて市場の成長状況と、戦うマーケットにおける自社のシェアを縦軸、よく軸に設定し、企業存続における自社資源の効果的な配分方法を模索します。
そうすることで、自社で抱える各サービスの今後の方向性を明確にとらえていくことが可能となります。

【プロセス3:提案および開発】

① STP戦略

STP戦略とは、「Segmentation(セグメント)」「Targeting(ターゲット)」「Positioning(ポジション)」の頭文字です。
どこの市場で、どんな人をターゲットとし、どのような価値を提供するかということを自社の製品優位性等を踏まえて分析していきます。
そうすることで、自社の戦う市場におけるポジションを考えることができます。

② 4Pおよび4C

4Pは「Product(商品)」「Price(価格)」「Promotion(販促)」「Place(流通)」の4つのPを軸に分析します。
そうすることで、自社の製品マーケットにおける課題を洗い出すことができます。
また、4Cは「Customer Value(顧客価値)」「Cost(コスト)「Convenience(利便性)」「Communication(対話)」の4つの顧客を中心としたCを基に分析します。
4Pと4Cを掛け合わせて考えることで、顧客視点からの自社製品マーケットにおける課題を洗い出すことができます。

【プロセス4:計画の実行】

5W1H

① 5W1H

英語の文法等でも習うこの5W1Hですが、

  • 「When(いつ)」
  • 「Where(どこで)」
  • 「Who(誰が)」
  • 「What(何を)」
  • 「Why(なぜ)」
  • 「How(どうやって)」

を考えることで、計画における抜け漏れを防ぐことができます。

② PDCA

PDCA

PDCAは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の軸で、計画を回すことによりプロジェクトの管理を円滑に進めることができます。

小分類Bにおける代表的なフレームワークをご理解いただいたところで、少し考えて下さい。
デザイン思考(過去2回参照)でご説明した思考のステップと、小分類Bのビジネスプロセスが少し似ているとは思いませんか?
デザイン思考でも、ステップにおける言葉(ステップ名)や視点(ユーザ視点)こそ異なりますが、共感⇒問題定義⇒アイデア抽出⇒プロトタイピング⇒テストと小分類Bの各プロセスと内容としては似たような手順を追っています。
ではデザイン思考は通常のフレームワークと一体何が違うのか。
それは大分類Aのどこに適するかという部分が明確に決まっている点です。
小分類Bの各プロセスは冒頭でも述べた通り、大分類Aの各プロセスに対しすべてが一連のプロセスとして紐づくのに対し、デザイン思考は大分類Aの「製品の開発」「製品の販促および維持改善」の部分についてしか利用できません。
デザイン思考は製品の開発に特化した思考方法であるためです。
また、ほかのフレームワークが「製品の開発」「製品の販促および維持改善」のプロセスにおいても、複数個のフレームワークを組み合わせて解決を行っていかなければならないのに対し(小分類Bの各プロセスで代表的なフレームワークを紹介したように)デザイン思考は、この思考方法をまるっと頭から「製品開発」「製品の販促および維持改善」まで通しで適用することができます。
どのフレームワークが適しているか、など細かなことを考えることをしなくても、デザイン思考のステップに応じて考えていくだけで製品開発までたどり着けるのです。

まとめ

フレームワークには細かに細分化して分析し、最終的に定量的な判断にまで持ち込めるという利点があります。
一方でデザイン思考は、一貫して抜けもれなく思考することができるため、フレームワークを複数重ねることでは生み出しえない、新たな視点や発想にたどりつけるという利点もあります。
つまりどちらも捨てがたい利点を有しているということが言えます。
「デザイン思考とフレームワーク、この2つツールは、企業の成長状況や、方向性等状況に応じて相互に作用させていくことができるか。」
このことは企業に柔軟な思考と革新的な発展をもたらすうえで、今後さらに重要なキーとなってくるのです。