仮説思考とは何か

思考のフレームワークの一つに「仮説思考」というものがあります。
これは、『仮説思考 BCG流 問題発見・解決の発想法』(内田和成著 2006年 東洋経済新報社)をきっかけにビジネスシーンで流行したフレームワークの一つです。
今や『仮説思考』は、ビジネスシーンで当たり前のスキルと化しています。
では、その仮説思考とは何なのか。
ここではその実態に迫っていこうと思います。

仮説思考

忙しい朝、あなたは傘を持つのか。

仮説思考という大仰な言い方をしてしまうとわかりにくいのですが、実は意外に簡単な話です。
たとえば、今あなたが会社に出かけようとしている朝だとして、もういつもの満員電車の時刻に間に合うか間に合わないかというギリギリの状況だったとします。
そして、家を出たあなたは、見上げた空がどうもどんよりしているような気がしたのです。
さて、この時あなたは、玄関においてある傘を持って出かけるのか?という問題に直面しているはずです。
まずは当然会社にびしょぬれで出社するなどもってのほかですし、書類やPCが濡れたら一大事です。
別に傘を持って行ってもいいのですが、この後満員電車に乗るとして、雨も降っていないのにその車内で傘を抱いているのは非常に迷惑ですし気詰まりです。
しかし、だからといって、もう一度家に戻ってテレビの天気予報をはしごしたり、玄関先でスマホをポチポチして天気予報を見ながら雨の確率を予想するような時間はありません。
それでは、雨に濡れなくとも上司の雷が落ちます。
そこであなたは、取りあえず雨が降った場合のデメリットの方が大きいと感じ、玄関の傘をつかんで外に飛び出していくわけです、そう、これこそが仮説思考なのです。

問題の全体像を把握して仮説を立てる思考法

では傘のたとえを利用して、仮説思考の本質と使い方を見ていきましょう。

・スピード感のある思考法

高速化・スピード感
まず、一番の基本はここにあります。
傘の例でいえば、会社に遅刻しそうな朝なのですから、最も重要なポイントは雨に濡れる濡れないよりも遅刻をしない事であるのは一目瞭然です。
そう、そこに必要なのはスピード。
そして、ビジネスの世界においてもこのスピードというものは最も大切で、変化のスピードの速い現代においてはさらに価値の高い要素になっています。
傘でいえば、確かに雨が降るかどうかを様々な情報から精査していけば、問題はより的確に対処できるでしょう。
しかし、情報の収集と精査に手を取られて格段にスピードが落ちてしまいます。
そこで、情報の収集や精査よりもスピードを重視し「雨が降る」という仮説を立てて傘を持つという行動を選ぶ。
これが仮説思考です。

・仮説と検証を繰り返して本質に迫る

「雨が降りそうだったから傘を持って出かけた」実はここにはたくさんの仮説と検証が存在します。
まず最初の仮説は、当然「雨が降りそう」です。
この時頭の中では「雨が降る」という仮説とその結果もたらされるデメリットと解決策が検証されているはずです。
そこでそこに「傘を持つ」という仮説が生まれます。
そしてそこから今度は傘を持つということによっておこる現象や事実を検証し、そこにデメリットが存在することを導き出すと、今度は「傘を持たない」という仮説が生まれ検証が始まります。
そして最終的に、傘を持たないデメリットが傘を持つデメリットを超えることを認識し、傘を持っていくという行動に結び付くわけです。
当然そこには想像ではなく経験則からくる裏付けもちゃんとあります。
この、きちんとした裏付けのある仮説をもとに、検証を繰り返して最良の選択を選び取ることこそが仮説思考というものなのです。

・スピード感をもって問題を解決する方法

思考のスピード
つまり仮説思考とは、スピード感をもって問題の本質に至り解決する方法です。
何度もいますが、絶対に間違いのない、確度の高い結論を導き出して安全に事を進めるのであれば、様々な情報を収集し精査する方が当然良い結果を産みます。
しかし、それではビジネスシーンにおいて大いなる出遅れを招いてしまう場合が多々あるのです。
いま直面する事態において最も重要なことは何なのか、それを見極め仮説を立てて検証する。
そうすることで、傘の例を出せば「朝どれくらい余裕を持つべきなのか」や「出かける前の天気予報は必ず見る」といった足りない情報についての認識も生まれてきます。
それが仮説思考というものなのです。

仮説思考のデメリット

仮説思考のデメリットの一番は、言うまでもなく精度です。
これまでも、何度も申し上げてきましたがやはり制度の高さという点では、情報をきちんと収集し精査する「網羅思考」には及びません。
また、仮説思考に慣れてしまうと、本当は網羅思考を持たなければいけない時に、この仮説思考を用いてしまう場合があります。
仮説思考は、あくまでスピード感が求められる問題に有用である事を知って下さい。
行動しながら、修正を行っていく場合は、最強の考え方です。