意外性?

前回より始まったSUCCESs(サクセス)の法則に基づく
「伝わる文章」づくりですが、
今回のテーマは、2つ目の「意外性(Unexpected)」についてです。

意外性?

誰もがそうですが、
人はすでにそうなることが確実だと思われている既定路線や、
ある種のパターンから外れたモノ・コトに対し興味や関心をもつ性質があります。

「意外なこと=人の予想の斜め上を行く」という点では効果的に使いたい要素です。

とはいえ、ただ突拍子のないエピソードをぶっこむだけではダメです。

意外性にはちゃんと計算が必要なのです。

「まさか、こんなところでそう来る?」という驚き

あなたも一度は旅行や仕事で旅客機に乗ったことはありませんか?

中には、「毎月仕事で……」というビジネスマンかもしれませんね。

その旅客機ですが、
乗ると離陸してまもなくして始まるのが「安全に関する機内放送」です。

アレ、ちゃんと聞いたことありますか?

航空会社の関係者には申し訳ないですが、
正直、退屈な内容ですよね?
(もちろん命にかかわることなので聞くのは大前提ですよ!)

ただ、たいていどの航空会社も似たり寄ったりの内容なので、
目線だけ前に向けつつも、実のところ聞いてはいない人の方が多いのではないでしょうか?

そんな私たちのような“聞いているフリをして全然聞いてない乗客”を相手に、
ある日某客室乗務員が知恵を絞って以下のような放送をしたそうです。

“しばしお聞きください。

ぜひ皆様に、安全面のご案内をしたいと思います。

1965年以降、自動車に乗ったことがないというお客様、
シートベルトを正しく締めるには、
平らな金具をバックルの中にスライドさせてください。

外すときは、バックルを持ち上げれば外れます。

また、歌にもありますように、
恋人と別れる方法は50通りもありますが、
この飛行機から脱出する方法は6つしかありません。

前方に出口が2つ、左右の翼の上に非常用脱出口が2つ、
そして、後方に出口が2つです。

それぞれの出口の位置は、
頭上の案内板と、通路沿いに設置された赤と白のディスコ調の照明で示されております。
ほら、思わず見てしまったでしょう。“

(「アイデアのちから」第二章より抜粋)

こんな安全放送が流れたら、
機内でただボーッとしていたとしても、
思わず「えっ?(笑)」と身を乗り出して聞いてしまいませんか?

実際この安全放送を行った後、
乗客からは拍手が起きたというから……すごい。

客室乗務員の安全放送は、なぜウケたか

旅客機に乗ったことがある人ならわかりますが、
ライフジャケットの使用方法や非常口に関する安全放送ほど退屈なものはありません。

みんな機内に持ち込んだ雑誌や本、パソコン画面、ゲーム機に戻りたいのが本音です。

(もしくは、「早く機内サービスの飲み物やスナックがほしい!」とか。)

そんな現状の中、
このような機内放送ができる気の利いた客室乗務員がいたら、
数時間のフライトも面白くなります。

この客室乗務員の話した内容をもう一度よく見てみましょう。

自動車に乗ったことがない人にわざわざシートベルトについて説明したり
(今時そんな人がいないのをわかっていても敢えて言う)、
恋人と別れるには50の方法があっても、
飛行機から脱出する方法は6つしかないというくだりなど、
誰かに刺さりそうな文章はいろいろ入っています。

しかしながら、なんといっても客室乗務員がこんな冗談を織りまぜつつ機内放送をすること自体に驚きを覚えます。

いや、いないでしょ、普通。
まさに、意外性!

このように、関心がない人に関心を持たせるという至難の技を
いともたやすくしてしまったこの客室乗務員の腕は相当です。

暗黙の了解と化したパターンを敢えて崩すことで、
大声で一生懸命説明したり、
オーバーリアクションを織り交ぜて救命器具について説明する必要がないのですから。

こんなスマートな意外性、あなたも身につけたいと思いませんか?

何?

あなたの文章に意外性をトッピングするには?

それでは、意外性の生み出し方について見ていきましょう。

意外性とは、ざっくり言えばパターン崩しです。

パターン崩し

人は既定路線やパターンといった安定感のあるものに対して順応する性質があり、
一度順応するとそれに注意を払わなくなるものです。

そこで「驚き」や「意外」といった変化を与えて、関心をもたせるのです。

人は驚くことで考え始め、目の前の疑問に対し答えを探そうとする生き物。

まずは大きな「驚き」を活用しましょう。

ただし注意も必要なのが、
「驚かせたい!」と思うあまり、
ウケ狙いをし過ぎてはいけません。

なぜか?

『核』となる本質がブレてしまったり、
もっと悪いことに本質が失われてしまったりなどして、
何を言いたいのかわからくなってしまうからです。

読む人に対して、「一体何が言いたいの?」
と感じさせてしまったらアウトなので、気をつけましょう。

他者からの関心をつなぎとめるには?

読者の関心をつかんだ後も予断は許しません(笑)
まだやるべきことはあります。

というのも、人の関心なんぞはほんの数分しかもたないからです。

次に新たな関心事が登場すれば、
あっという間に忘却の彼方に追いやられてしまうのです。

では、どうやって関心をつなぎとめればいいのか?

それは謎かけを仕掛けること。

なぞ?

謎には、驚きと同様に大きなインパクトがあるのです。

人の「え?なんで?」
「どういうこと?」
という一瞬の驚きを、
「どういうことなのか知りたい、
もっと理解したい!」といった持続的な好奇心や関心へと変えてしまえば、
こっちのモノです。

人は誰しも自分の知らないこと(知識のスキマ)に気づくと、
それを埋めようとしたくなります。

これを隙間理論といいます。

つまり、とっても知りたいのに知らない状況が続くのは
人にとっては苦痛なので、
物語(ストーリー)のように謎解きをしながら読み進ませてしまえばいいという訳です。

しかも、物語性があると次の回への期待も煽れるという
メリットもあります(話の続きが気になって仕方なくなるから。)

この様式、強いていえばミステリーや刑事ものの
ドラマを見るのが止められない感覚に近いものがあります。

皆さん、やっぱり好きですよね?
ドラマの「相棒」とか。

いかがでしたか?

意外性をうまく使えれば、伝え上手になります。

つまりパターン崩しのための「驚き」と、
隙間理論を用いた関心を引っ張る「謎かけ」です。

最後にもう一度言いますが、
過度なウケ狙いだけは止めましょう。

「人志松本のすべらない話」よろしく、
すべってしまう芸人並みの惨劇に陥りますからね。